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古川美術館 特別展「濱田樹里 日本画展 ~ 昇華の天地」・爲三郎記念館 特別展「磯野宏夫絵画展~永遠の森 Eternal Forest」
ふるかわびじゅつかん とくべつてん はまだじゅり にほんがてん しょうかのてんち ためさぶろうきねんかん とくべつてん いそのひろおかいがてん えいえんのもり えたーなるふぉれすと
古川美術館では花や自然を題材に制作する日本画家・濱田樹里。自然の姿形を借り“生命力”そのものが溢れ出すような大型作品は、色鮮やかで力強く、観る者を取り囲み、自身も自然の一部であった事を思い出させます。
濱田作品の源流となっているのが、幼少期に過ごしたインドネシアの赤き大地です。生命そのもののような赤い大地と熱帯の花々は、さまざまに姿を変えながら大地と天空を輪廻し、その循環の輪の中に生を享けたすべてのいのちが在るのだと、濱田の心に刻み込んだのでしょう。
2023年、濱田樹里が50歳という人生の節目を迎える本年。折に触れて関わってきた古川美術館で初の個展を開催します。濱田と古川美術館との関わりは2000年、古川美術館で開催した若手作家展シリーズ第1弾に『地の歌』を出品したことに始まります。その後第2弾(2004年)、第3弾(2009年)に出品し、第4弾(2021年)では、今の若手作家を選出する選者として参加しています。また、旭丘高校美術科から愛知県立芸術大学に進学し、学部の卒業制作(桑原賞を受賞)、大学院の修了制作のいずれも大学買い上げ賞になっています。また2012年第5回東山魁夷記念 日経日本画大賞展・大賞受賞で作家として大きな飛躍を遂げます。地元名古屋では、2010年名古屋市芸術奨励賞新人賞受賞、2012年名古屋市芸術創造賞、2013年愛知県芸術文化選奨文化新人賞受賞など着実に実力と実績を積み上げ、現在では、名古屋造形大学美術表現領域の教授として後進を育てながら、作家としても精力的に活動を続けています。節目となる本展では「大地」「生命(いのち)」をキーワードに、大型作品の主題の移り変わりを展覧するとともに、濱田が大学院時代に制作した人物画「丹」や「心」など初期作品(初展示)なども加え、人物から大型作品へと濱田自身の昇華していくその様、その変化も捉えます。≪日本画家・濱田樹里≫の世界をどうぞご堪能下さい。
磯野宏夫展は、作家の没後10年を偲び、作家最期の展覧会会場である爲三郎記念館を会場として、豊かな自然を愛し、生命の源である森を描き続けた愛知県稲沢市出身の磯野宏夫(1945 - 2013)の作品を展覧いたします。
磯野宏夫は愛知教育大学卒業後、デザイン会社に勤務を経てイラストレーターとして活躍しました。20代で沖縄の亜熱帯の森に出会い、後にアマゾンの熱帯雨林に魅了されて生命の源ともいえる森をテーマに、色彩美しく、細密に描き出してきました。その作品には、人間の力など到底及ばない偉大なる圧倒的な森の姿、何億年も昔から営まれてきた生命の神秘と恵みへの尊崇の念が込められています。磯野が生涯をかけて描き続けた森の作品は企業カレンダー、ポスター、ゲームのメインビジュアル、ジグゾーパズルなどにも起用され、今なお、その輝く生命の森の作品は、私たちの心に深く沁み込み、自然への畏敬の念を呼び起こしてきます。また磯野は、かつて工業都市として公害に苦しみながらも、工業と環境保全との両立に取り組み、美しい自然を取り戻した四日市市の広報誌の表紙絵を担当しました。それらの作品では、同地の人と自然とが共生する里山を、優しい眼差しで描き出しています。人が森を切り拓きながら文明を築き、生きてきた姿と、その人間を自然が許容し、優しく包み込む風景画は、これまでの圧倒的な森の姿にはない、やさしさに満ち溢れています。
本展では、磯野の晩年の作品「森の惑星シリーズ」17点とともに、磯野には珍しい、人里や近代都市を描いた里山風景14点を初めて一堂に揃えて展示いたします。
森の画家・磯野宏夫が、この豊かな自然が永遠に守られることを願って描き続けた作品を通し、今、注目されている、人と自然との共生の大切さと、生命を育む森の惑星・地球のすばらしさに、思いを馳せていただけましたら幸いです。
古川美術館での展示(一部)
分館 爲三郎記念館での展示(一部)
スポット情報
古川美術館・分館 爲三郎記念館
- 古川美術館は、初代館長故古川爲三郎(1890-1993)が長年にわたって収集し大切にしてきた美術品を、「私蔵することなく広く皆様に楽しんでいただきたい」という想いからその寄付を受け、平成3年11月に開館いたしました。所蔵品は、近代日本画を中心として、油彩画、陶磁器、工芸品、また、15世紀の手描き彩飾写本など、約2800点になります。現在は、所蔵品による展示を行うとともに美術講演会、ワークショップなどの教育普及活動もいたしております。
分館の爲三郎記念館は、爲三郎没後、「みなさんの憩いの場として使っていただきたい」という遺志により、平成7年11月から私邸を公開しています。昭和9年に建てられた爲三郎記念館の母屋で数寄屋造りの「爲春亭」や庭園の茶室「知足庵」など6棟が平成30年11月に国の登録有形文化財の登録を受けました。美しい日本庭園を眺めながら邸内併設の数寄屋 de caféで、オリジナルや季節の和菓子と爲三郎長寿の秘訣のお抹茶、薫り高い珈琲やおぜんざい(季節限定)などのメニューを楽しむことが出来ます(別途有料)。現在は、美術館の様々な活動とあわせて年間数回の企画展示、各種イベントなどを催しております。
詳細
日程 | 2023年10月21日(土) ~ 12月17日(日) |
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休館日 | 月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し翌平日休館) |
時間 | 10:00~17:00(最終入館16:30まで) |
開催場所 | 古川美術館、分館 爲三郎記念館 |
料金 | 【当日】一般1,000円 高大生800円 中学生以下無料 (古川美術館と分館爲三郎記念館 館共通券) |
お問い合わせ先 | 古川美術館・分館 爲三郎記念館 |
TEL | 052-763-1991(英語での問い合わせ否) |
アクセス | ●地下鉄東山線「池下」駅 1番出口より東へ徒歩5分 |
※掲載内容は変更となる場合があります。最新の情報は公式ホームページ等にてご確認ください。