最終更新日:2024年5月28日(火)
復興から栄光のシンボルへ
内藤多仲・名古屋テレビ塔物語
中部電力 MIRAI TOWER(旧:名古屋テレビ塔)は、2024年6月20日に開業70周年を迎えます。戦後の復興から現在まで、名古屋のシンボルとして長く愛されてきた歴史をご紹介します。
※2021年5月1日より「名古屋テレビ塔」は「中部電力 MIRAI TOWER」に名称変更しています。
名古屋テレビ塔の設計者・内藤多仲
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耐震構造の理論はある偶然から生まれた
早稲田大学で教鞭をとっていた内藤多仲は、念願のアメリカ留学を果たし、最先端の力学を学びましたが、日本の気象に合った建築にどう生かしていくかについて答えが見つからないまま、留学期間が終了してしまいます。心にモヤモヤを抱えながらの帰途、さらに悪いことに、嵐が起こり、船ごと激しい波にもまれてしまいます。
しかし、運命はまだ多仲の手の中にありました。荒れた船内の中で、アメリカから持ち込んだひとつのトランクだけが無傷であることに気づいた多仲は、この状況から、間仕切りのふた、そして外側から縛った縄がトランクを強くしたのではないか、と気づきます。そこから柱と梁という骨組だけではなく間仕切りを入れてエネルギーを均衡させる「耐震壁構造」の理論を完成させました。
この理論を現実の建造物に当てはめたのが、歌舞伎座や日本興業銀行本店です。その後、東京を襲った関東大震災によって彼の理論は実証され、名声は不動のものとなりました。
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日本初の集約電波塔に挑戦
1945(昭和20)年、名古屋市は「戦後復興計画」をどこよりも早く立ち上げました。そこには名古屋市街地を走る100m道路とともに、テレビ電波の送信鉄塔であり観光の目玉となるタワーの建設計画もありました。打診を受けた多仲は、この前例のない集約電波塔建設の難しさを直感したといいます。
難航したのは、まず「集約アンテナ」でした。細いアンテナをいかに丈夫に安全に組み立てるか、その工法について何度も設計をやり直したそうです。また、都市計画の中で、今後地下鉄を通すことが決まっていたため、それを前提とした緻密な設計が求められました。 ほかにも様々な壁はありましたが、最終的にエッフェル塔を彷彿とさせる機能美へと昇華させたのは、やはり塔博士・多仲の不屈の情熱と手腕があってこそでしょう。
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1945(昭和20)年、名古屋市は「戦後復興計画」をどこよりも早く立ち上げました。そこには名古屋市街地を走る100m道路とともに、テレビ電波の送信鉄塔であり観光の目玉となるタワーの建設計画もありました。打診を受けた多仲は、この前例のない集約電波塔建設の難しさを直感したといいます。
難航したのは、まず「集約アンテナ」でした。細いアンテナをいかに丈夫に安全に組み立てるか、その工法について何度も設計をやり直したそうです。また、都市計画の中で、今後地下鉄を通すことが決まっていたため、それを前提とした緻密な設計が求められました。 ほかにも様々な壁はありましたが、最終的にエッフェル塔を彷彿とさせる機能美へと昇華させたのは、やはり塔博士・多仲の不屈の情熱と手腕があってこそでしょう。
名古屋テレビ塔が新しいビジネスモデルのお手本に
新しいビジネスモデルを成功させた名古屋は、全国から注目の的。名古屋に続け、とばかりに、多仲のもとには、大阪通天閣、別府タワー、さっぽろテレビ塔、東京タワー、博多ポートタワーなど様々なタワーの依頼が舞い込んできました。多仲はタワー設計の第一人者として、いくつになっても常に挑戦し続けました。
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その理由は、リベット打ちに加え、高所では銀色のボルトを使っていたから。その色に合わせて塔全体の塗装もシルバーにしたそうです。
しかし、1960(昭和35)年の航空法改正によって、地上60m以上の塔や煙突は赤白塗装が義務づけられました。
当然、名古屋テレビ塔も何度も塗り替えを指導されましたが、神野金之助社長は、法改正前に完成した建物であったことを理由に、塗り替えに反対。最上部に航空障害灯をつけることでなんとか許可が下り、銀色の輝きを今に残すことができました。
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「栄」を明るく照らす「光」となれ
リニューアルした名古屋テレビ塔には、以前より3倍解像度が高くなった屋外サイネージと、1670万色のフルカラーLED照明が採用されました。名古屋テレビ塔株式会社の大澤和宏社長によると、これらは国内の数あるタワーにはない特徴で、これからはパリのエッフェル塔のように、新しい表現にも挑戦できるのだとか。
再びにぎやかさを取り戻した栄の夜に、鮮やかに浮かび上がります。
挑戦の歴史を刻んできた名古屋テレビ塔は、つねに名古屋人の誇りであり続けています。
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<名古屋テレビ塔は歴史を伝えるミュージアム>
おしゃれなスペースの中に、解体された基礎コンクリートや鉄骨、配電盤などが自然に溶け合っています。
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おしゃれなスペースの中に、解体された基礎コンクリートや鉄骨、配電盤などが自然に溶け合っています。
展望台行きのエレベーターの2基のうち1基(右側)は、昭和40年代に設置されたもの。ドアは二重扉、手動で開閉するためレバーもついています。エレベーターから街が展望できるように、電車と同じトロリー式が採用され、今なお現役で稼働しています。
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展望台行きのエレベーターの2基のうち1基(右側)は、昭和40年代に設置されたもの。ドアは二重扉、手動で開閉するためレバーもついています。エレベーターから街が展望できるように、電車と同じトロリー式が採用され、今なお現役で稼働しています。
鉄骨構造や電波塔時代にパラボラアンテナを設置していた土台や骨組みなども間近に見られます。
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鉄骨構造や電波塔時代にパラボラアンテナを設置していた土台や骨組みなども間近に見られます。
<ここでしか買えないお土産は「多仲」で>
定番の名古屋みやげはもちろん、マスコットキャラクター「ウエミーヤ」グッズなど名古屋テレビ塔のオリジナル商品も多数取り揃えています。
<ここでしか買えないお土産は「多仲」で>
定番の名古屋みやげはもちろん、マスコットキャラクター「ウエミーヤ」グッズなど名古屋テレビ塔のオリジナル商品も多数取り揃えています。
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スポット情報
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中部電力 MIRAI TOWER
- 中部電力 MIRAI TOWERは昭和29(1954)年に日本で最初の集約電波塔として建設された観光タワー。開業以来初となる全体改修工事を経て、2020年9月18日にグランドオープン!2022年12月に、全国のタワーとしては初となる国の重要文化財に指定されました。